遭難しないための原則:カテゴリー

登山の大原則

山では、「自分の身は自分で守る」のが基本、大原則です

もちろんリーダーがパーティーの行動についての全責任を負うのですが、不可抗力の事故などで、リーダーが行動不能になってしまう場合もありえます。そういうとき、自分で自分の身を守れるだけの知識や装備、行動力がなければ、死ぬのを待つしかありません。

自分の身は自分で守る、言い換えれば、登山の危機管理をしようということです。

社長が急病で入院したら、即倒産してしまう・・・そんな危機管理のキの字もない企業はないでしょう。登山でも全く同じです!

社会で培った危機管理能力は、若者にはない武器になりえます。

あなたが山へ入る場合、単独行・パーティー登山・ツアー登山を問わず、いざというときのシュミレーションをして、山へ入ってください。

hotaka.jpg (初夏の穂高連峰)


遭難回避の3大原則

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1.自分(たち)の能力を過小評価する

 ・・・衰え行く体力というものは、かななか自覚できないものです。常に自分たちの実力を過小評価して、計画を立てるようにしましょう。

コースの技術的な難易度、歩行時間の長さ、背負える装備の量・・・。自分の限界は、思ったよりも下にあります。

また、「自分たち=パーティー」の実力は、「一番弱い人」の実力です。自分の技術・体力を基準にして計画を立てるのは危険です。


2.危険を予測する

 ・・・登山はもちろん楽しむためにするものですが、計画段階はもちろん、行動中も常に頭の片隅で『ここにはどんな危険がありうるか』を予測しましょう。


3.金で買える安全は買う

 ・・・濡れても体温を奪わず動きやすい登山用ウェア、防水透湿性雨具、LEDのヘッドランプetcの登山用装備。夜行日帰りより1泊2日。鈍行より特急。

気合と体力でしのげるのは、若いうちだけ。もう若くない我々は、金で買える安全なら積極的に買いましょう(笑)。



・早出、早着き

登山、特にアルプスなどの高山では、早出、早着きが大原則です。

kaminari.jpgというのも、山の気象は変わりやすく、特に午後1時を過ぎると雷の発生確率が飛躍的に高まるためです。雷は上昇気流の発生により起こりやすく、山岳地帯は平地より発生の確率が高くなります。

稜線にモクモクとわき上がる入道雲(積乱雲)は夏山の風物詩ですが、もし登山者が入道雲にとり囲まれた場合、雷に囲まれている状況と同じです。この状況では、雷は上下左右、容赦なく四方から襲ってきますので非常に危険です。

できれば午後1時、どんなに遅くても午後3時には宿泊地に到着できるように、早出、早着の行動をしましょう。

*こちらは石川県自然解説員研究会が公開している「落雷から身を守るには」。ぜひダウンロードしてご覧ください。
http://association.kan-hakusan.jp/images/20060703_04.pdf


遭難シュミレーションをしよう

山での遭難は、自然相手である以上、どんなに注意をしていても起こりえることです。100%安全な登山など、ありえません。

従って、登山の計画を立てる際に「遭難のシュミレーション」をしておくことは、とても大切なことです。

では、実際にどうやって遭難のシュミレーションをしたらいいかを考えて見ましょう。

1.以下のような事故が起こった場合、どう対処するか。
 ・転落・滑落(自力行動可能、不可能)
 ・転倒による負傷(自力行動可能・不可能)
 ・病気(熱中症など)による行動不能
   など

2.どのように下山するか
 ・行程を区切り、それぞれ区間のエスケープルート(緊急下山路)を選定

3.緊急時連絡先の把握、書き出し
 ・複数の通報による情報の混乱を防ぐため、所属する山岳会などへの連絡一本化が原則。個人が自宅などへ連絡は厳禁。 遭難発生時に『誰がどこへ連絡するか』の確認。
最低限、以上の事柄は計画段階で決定し、パーティーミーティングでメンバー全員に承知徹底するようにしましょう。

*ヘリ搬送が必要な場合は当然救助要請となりますが、登山は自力で解決できることは自力でするのも基本です。近年安易なヘリ救助要請も増えていますので、果たしてそれが本当に必要かも、よく考えてください。


遭難しないための登山準備

遭難しないために・登山準備の大原則

★無理のない計画を立てる。自分の体力を過大評価しない。特に万一天候が最悪になっても、行動しきれる(自力下山できる)かを考慮する。
計画に無理があったと思われる事例

★登山届けを書く。警察だけでなく留守宅へも忘れずに。
登山届けを出さなかったために、救助初動が遅れた事例

★日帰り登山でも、最低限のビバークができる装備・食料と、遭難を知らせる通信機器をもつ。
ビバーク・通信装備を持っていたため、最悪の事態には至らなかった事例

★服装は最新式のものを(派手めの蛍光色がよい。)
最新式の服装で命がすくわれた事例

★気象情報や危険情報をあらかじめ把握しておく。

★たとえツアー登山であっても、「お客様」気分にはならない。山では「自分の身は自分で守る」意識が重要。事故が発生した場合のシュミレーションをしておくこと。

体力をつける。普段からエレベーターを使わず歩いたりジョギングをしたりなど、積極的に体を使うようにしましょう。都会で鈍った体と神経こそが、山での一番の危険です。そして山行中は、医者が患者を見るような冷静な目で、自分の体調や体力を観察してみましょう。





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