遭難対策訓練をしよう

100%安全な登山などあり得ません。100%安全なドライブ、絶対に危険のない海水浴・・・そういったものがあり得ないのと同じことです。

とはいえ、登山はドライブや海水浴よりは危ないのも確か。ですから、もしものときのために訓練をしておくことは、非常に大切です。山岳会などでは当然遭難訓練を実施しているでしょうが、極限状況の一端を「実際に生身で体験」しておくことは、非常に効果があります。


カモシカ山行

カモシカ山行とは、夜通し眠らずに歩く訓練です。遭難の現場では、夜間に行動をせざるを得ない状況というのも考えられます。そのような場合に備えての訓練です。

ルートのはっきりした、万一けが人が出た場合でもすぐに下山できるような低山で実施してみましょう。荷物は行動食+非常食、それにビバーク装備ぐらいの軽装で。

私が所属していた会では、毎年表丹沢で行っていました。夜に登山口に集合、無理をしないゆっくりペースで、兎に角朝まで歩ききります。


ボッカ訓練

読んで字のごとく、重い荷物を担いで歩く訓練。遭難発生時には、負傷者の荷物は他のメンバーで分担して担ぎます。私の会では、秋口に丹沢で実施。ノルマはアラフォーが(笑)30キロ以上。若者は40キロ以上。塔の岳の通称「バカ尾根」を、鍋装備を背負って(笑)登高。ザックの重さが足りない分は、その辺に転がっている石を詰める。塔の岳頂上で盛大に鍋パーティーを催し下山、という日程です。


ビバーク訓練

これも読んで字のごとく、ビバークの練習です。私は夏場に、日帰りできる沢をあえてビバークする山行をしています。ツエルト1枚のビバークを体験しておくことは、万一のビバークの際に心の余裕を生んでくれます。


読図訓練

地図の読図技術を磨くための訓練山行です。2万5千分の1地形図とコンパスを手に、山での景色とじ~っくり見比べてみましょう。景色というのは、遠くに見える山並みだけでなく、周辺の木の植生や地形なども含みます。登山道のある山より、決まった道のない低山の沢登りのほうがお勧めです(沢登りの技術が必要になりますが・・・)。山岳地形と読図 (ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書)は必読書。地図と現場のカラー写真が対比されていて、非常にわかりやすく読図を勉強できます。


遭難対処訓練

大学時代はかなり綿密に計画を立てて行っていましたが、社会人になってからは・・・(反省)。

4年生が新人役を担当。シナリオを作り、行動中に熱射病で倒れてみたり、段差でわざとコケて捻挫したふりをしたり、テント場で鍋をひっくり返して(もちろん沸騰しないうちに・・・笑)やけどしてみたり。そしてリーダーの対処を見る、という訓練です。


といった具合に遭難訓練を行いますが、重要なのは、安全を確保した上で行うことです。遭難訓練で実際に遭難してしまったら、シャレになりませんので・・・。

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