遭難回避の知識・技術:カテゴリー

登山の非常用装備(管理人の場合)

登山の非常用装備、当サイト管理人の例を紹介します。参考にしていただければ幸いです。

★ツェルト、登山用超軽量折りたたみ傘、ろうそく、ライター
・・・たとえ日帰り登山でも、管理人は最低限のビバーク装備を携行します。以上の4点セットをビバークセットとしてひとつの袋にまとめています(ツェルトは4人に1つで勘定)。使い方については、ビバークの項をご覧ください。

★スペースブランケット
・・・宇宙服用に開発された軽量なアルミシートで、ポリエステル樹脂に特殊製法でアルミ蒸着加工をしたシートです。水を通さないので、暴風雨の中でのビバークを余儀なくされたときにツエルトと併用しようと思い持っています。重さ60グラムでですから、荷物になりません。手のひらにすっぽり収まるサイズですが、一度広げると元のサイズには戻りません。2度ほど遭難訓練で使いましたが、これをかぶるとガサガサとうるさいです(笑)。光を反射しヘリからの視認性もよいと思うので、持っていて損はないでしょう。

★非常食
・・・遭難時の非常用食料です。カロリーメイトを非常食にしている方が多いですが、これはお勧めできません。非常食を口にするのは遭難時ですから、のどが渇いていても水なしで食べられるものを選びましょう。体力を極端に消耗しているときは、固形物はまず喉を通らないことは頭に入れておいてください。私はコンビニで売っているスポーツ用ゼリー飲料(少し重量はかさみますが・・・)とスポーツようかんを非常食としています。

★発炎筒
・・・特に樹林帯での遭難を想定して(森の中は、ヘリコプターから視認できないため)、ヘリに現在地を知らせるための装備として携行しています。近所のカー用品の店で買いました。幸いにも、まだ使用機会はありませんが。
*カー用品の『発炎筒』は『発煙筒』と違い、煙は出ないとのご指摘を頂きました。現在は『気密試験用発煙筒赤色』を携行しています。ちょっとかさばりますが・・・。
捜索ヘリコプターの行動原則に従い、2度目の飛来のときに焚きましょう。


★ホイッスル
・・・声よりも遠くに音が届くので。ウエストポーチに入れています。

以上を一まとめにして、ザックの雨蓋に入れています。ザックの奥底に入れていると、いざというとき取り出せません。

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ビバークのしかた

怪我や天候不良で行動できなくなってしまった場合、ビバークをしなければならなくなります。ビバークとは、簡単に言ってしまえば『山の中での野宿』ですが、具体的なビバークの方法を紹介します。

まずビバークに必要な装備は、ツェルトと呼ばれる簡易テントです。テントと言うよりは、「テントの形をしたペラペラのナイロンシート」と言ったほうが近いですが、これがあるとないとでは、ビバークに天国と地獄ほどの差がでてきます。


(ツェルト)

写真はポールでテント型に組み立てていますいますが、遭難時に設営する余裕はありませんから、ポールは必要ありません。ザックを地面にしいて座り、頭からすっぽりツェルトをかぶりナイロン生地の余りの部分をガバっと足下にたくし込んで風にはためかないようにするだけです。慣れていれば強風悪天下でも1分とかかりません。中で折りたたみ傘を広げるとかなりすごしやすさがアップします。

中でろうそくの一本もつければ、冬山でも暖かく感じます。『いざというときは、ツェルトをかぶって中で傘を広げる』と覚えてください

重さも一人用(横にならずに座れば、4人でも使えます)のものなら、たった300グラム程度。登山用の超軽量折りたたみ傘とあわせても5~600グラム程度、缶ジュース2本分ぐらいの重さですから、かならず携行するようにしましょう。山行時は雨蓋の中などザックからすぐに取り出せるところにパッキングしてください。

テント山行の場合はツエルトを携行しませんが、悪天強風などでテントを張る余裕のないときは同じようにかぶるだけでもOK、しばらくして余裕が出てきたらしっかり張り直せばいいのです。臨機応変に非常事態に対応しましょう。

また、ビバークを経験しておくことも非常に有効です。一年に一回程度、日帰りできる近郊の低山で、あえてツェルトビバークをする山行を計画してみましょう


エスケープルートとは

登山中に悪天候に遭遇してしまったり、事故が起こってしまった場合、どの登山道から下山するか・・・これがエスケープルートです。別に山に緊急時下山用の登山道が用意されているわけではなく、登山計画を立てるときに、「この地点からこの地点の間で何かあった場合は、このルートをエスケープルートにしよう」というように使います。

登山の計画を立てる際は必ず考慮しなければならない点ですが、重要なのは、メンバー全員がこのエスケープルートを把握していることです。これは若者も中高年も、山を登ろうとする限り変わらない原則です。

計画立案者やリーダーは当然エスケープルートを把握しているでしょうが、その他メンバーが把握していないという例を、管理人は何度も見聞きしています。もしリーダーに何かがあって行動不能になってしまったらどうするのでしょうか・・・。
リーダーが行動不能になってしまった遭難事例

特にツアー登山の場合など、主催者・ガイド任せで参加者本人はまるで登山ルートやエスケープルートを把握していない場合が見受けられます。

たとえツアーであろうと、自分のみは自分で守る、という意識が大切です。「お客様」状態では、万一の際に非常に危険です。

山へ行く前には、パーティーミーティングでメンバー全員に登山ルートやエスケープルート、事故への対処計画を承知徹底する。安全に登山を楽しむための基本です。



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