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食い延ばし

滑落による怪我や道迷い遭難などで「動かないで救助を待つ」ことを選択した時、長期戦になることを覚悟し住環境を整えることがまず第一です。動ける範囲で最も安全なところへ移動し、手持ちの装備をフル動員してできる限り雨風をしのげる環境を整えます。

そしてひとまず落ち着いたら、次にするべきは食料計画を立てること。思考の手順を箇条書しますと・・・。

1.ザックの中の食料を全て広げる。
2.救助されるまでの日数を計算する。下山予定日はいつ、予備日はいつで、その翌日に捜索依頼が出てヘリが飛び発見されるとしたら、あと◯日はここで持久戦だな。
3.ということは、この食料と水であと◯日。1日分に食べるのはこれだけ、飲み水は◯CCだ。

と、こんな具合です。冬季のバリエーションルートを登るようなレベルになると、悪天に閉じ込められたりすることも稀にあるので、こういった「食い延ばし計画」は普通の思考過程なのですが、一般登山者の方にも参考になるのではと思います。

2010年にチリの鉱山で33人が生き埋めになった崩落事故は日本でも大きく報道されましたが、現場のリーダーも現状把握の後にしたことは、この食い延ばし計画だったそうです。

このように持久戦計画を立てていると、自然と腹も据わってきて精神的なパニック状態から回復できます。食い延ばし、ぜひ頭に入れておいてください。

下らない

道に迷ってルートを見失い遭難してしまった場合の原則は、「下らない」「むやみに動き回って体力を消耗させない」ことです。

山で道を失ってしまった場合、人間の本能でどうしても下へ下へと下ってしまいます。

しかし山では、下ると沢筋に降りてしまう可能性が非常に高いです。そして沢には滝がつきもので、いつしか脱出不可能な地点まで追い詰められてしいます。また沢に降り立たなかったとしても、裾野というものは非常に広大で脱出は難しいものです。

ルートを見失った場合は、元いた場所まで戻る。戻れない場合は無闇に動き回らず体力を温存する。決して下らない。遭難時の原則として頭に入れておきましょう。

道に迷い遭難するも、落ち着いて対処し助かった事例

ガスに巻かれルートを見失い遭難。闇雲に下り、普通なら死んでいたであろう事例



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