遭難シュミレーション机上訓練:カテゴリー

遭難シュミレーション机上訓練

heri.jpg備えあれば憂いナシ。登山中に事故がおきた場合どう対処したらいいか・・・。山でよく起こる事故事例を、一緒にシュミレーションしてみましょう。

もちろん、ここで上げている「回答例」はあくまでも例です。メンバーの技術・体力、気象条件やルート状況、装備などなどの条件によって答えは当然変わってくるはずなので、ひとつの例としてご覧ください。

また、ご自身がいつもの山仲間とこのコースを山行中、同じ事故が起こってしまったら・・・ということも、あわせて考えて頂けたらと思います。

*管理人は関東なので、アルプスや八ヶ岳など中部山岳でのシュミレーションが多くなってしまいますが、そこはご勘弁を・・・。
(写真は長野県警察航空隊活動記録より引用させていただきました)。


山で熱射病・問題編

「熱中症とは」の項でも述べましたが、熱中症の中でも熱射病は、死亡率の高い極めて危険な状態です。

登山における熱中症は非常に多く、運動種目別の熱中症の発生時件数は、野球についで二番目になっています。しかも救急搬送が困難な山中ですので、危険度の高さは比べるまでもありあせん。

では、登山中にメンバーが熱射病にかかってしまった場合の対処法をいっしょに考えて見ましょう。

メンバー構成:50代男女7人のパーティー。
山行予定:奥秩父連峰。西沢渓谷から入山、初日甲武信小屋泊。翌日からは雲取山方面へ縦走の予定。
天候:小雨。雨具を着ての樹林帯の上りで、蒸し暑い。
装備:ツェルト、非常食、簡単な応急処置セットは携行。

事故状況:
甲武信小屋へ向けての登高中、メンバーの一人が非常に調子が悪そうに歩いている。完全にバテバテ、本人が「大丈夫・・・」というのでだましだまし歩いていたが、間もなく樹林帯を抜けそう・・・というところで倒れてしまう。

顔が青い、意識混濁、けいれんあり。

パーティーのリーダーはあなた。さあ、どうしますか?


捻挫で歩行不能・問題編

八ヶ岳連峰は登山初級者でも比較的容易に登れる、ポピュラーな山です。一方、二千八百メートルという標高は、富士山と日本アルプス以外にはここ(赤岳、阿弥陀岳、横岳)しかなく、時として厳しい顔を見せる山でもあります。

そんな八ヶ岳でも、特にポピュラーなルートでの、最も一般的(?)な事故を想定してみました。

メンバー構成:50代男女7人のパーティー。
山行予定:八ヶ岳連峰。美濃戸口から入山、初日行者小屋泊。翌日地蔵尾根から横岳・硫黄岳を経て、赤岳鉱泉から美濃戸口へ下山。
天候:小雨。視界は良くない。
装備:ザイルはなし。ツェルト、非常食、簡単な応急処置セットは携行。
備考:
1.このルートはメンバー全員が始めて歩くコース。
2.平日の山行のため、他の登山者はほとんど見当たらない状況。

事故状況:
パーティーで縦走中、八ヶ岳縦走の核心部、横岳の「カニの横ばい」を無事通過した直後、気が抜けたのか、女性メンバーが濡れた岩で足を滑らせ転倒。足を捻挫したようで「痛くて歩けそうもない」と言っていますが、骨折はしていないようです。

パーティーのリーダーはあなた。さあ、どうしますか?

回答例はこちら

概念図
yatsugatale.jpg

捻挫で歩行不能・回答例編

八ヶ岳の稜線上で捻挫して歩行不能・回答例編です。

もしこの状況で私がリーダーなら...

1. パーティーを安全な場所へ誘導し、それから怪我人の応急処置をします。といっても、雨の山では大したことはできませんが...。骨折していないなら、靴下の上からテーピングでガチガチに固めるぐらいです。

2. これからの行動を考えます。

まず、怪我をした足で、はしごや鎖場のある八ヶ岳の主稜線をもどって下山するのは論外。ここから先、硫黄岳へ向かう道は特に危険なところもない割合平坦な道ですから、距離は長くなっても硫黄岳・赤岳鉱泉経由で美濃戸口へ下山ですね。まずはコースタイム30分の硫黄岳山荘まで担ぐなり肩を貸すなりして移動、様子を見ましょう。

と、リーダーなら地図を広げるまでもなくそこまで判断できなければ、下調べ不足かと・・・。

硫黄岳山荘についたら、改めて怪我人の処置。骨折していないなら、空身にしてなんとか下山、無理なら赤岳鉱泉まで下りてもらって1泊、翌日下山して病院へ直行。そんな感じです。

捻挫ぐらいなら、基本ヘリ要請は考えません(もちろん場所やケガの度合いなどにもよりけり、ですよ)。最近どうも気軽にヘリ要請をする方が増えているそうですが、自力下山できるなら極力自力で下りましょう



Page: 1
フィード