遭難10日、雨水で耐える...丹沢で男性救出

(2009年9月)15日午後5時10分頃、神奈川県山北町の丹沢山系の玄倉(くろくら)川女郎小屋沢で、会社員男性(58)が倒れているのを、捜索していた県警松田署山岳救助隊らが見つけた。同隊員らが夜通し背負って下山し、16日昼前、病院に運んだが、右足骨折などの重傷。

松田署の発表によると、6日朝、丹沢山系の林道から女郎小屋沢を登る途中で滑落し、約5メートル下の岩場に転落、動けなくなった。食料は1日分しかなく、7日からは雨水を飲んで救助までの10日間を耐えた。

会社員男性は一人暮らし。出社しないため会社の同僚が心配し、富山県に住む兄に連絡。兄が12日に高坂さん宅に入り、丹沢山系に出かけていることを確認し、捜索願を出していた。

(9月16日付・読売新聞の記事より引用・一部改変)

ニュースソースだけからでは詳しい装備などがわかりませんが、まずは10日間のビバークを耐え抜き救出されたことは、何よりです。

事故のあった女郎小屋沢は入山者の多い表丹沢ではなく、西丹沢のあまり人気(ひとけ)のない沢です。技術的にも決してやさしい沢ではなく、直登も高巻きも悪い所が多いので、こういうところに入山届けを出さずに単独で入山というのは、やはりちょっと無謀だったと思います。

女郎小屋沢は日帰りで行ける沢なので、もし登山届けが出されていれば10日間ものビバークを強いられることはなかったはずです。

これだけの期間のビバークを耐えられたのですから、ビバーク装備は持っていたのではと思われますが、記事から察するに非常食は持っていなかったようです。

人間である以上、滑落などのミスを100%防ぐことはできません(もちろん、「100%防ごう」という意識は大切です)。ですから常に最悪の事態を想定し登山の準備を進めるのは、非常に大切なことです。

救助隊員の方が夜通し担いで下山されたとのことですが、多分衰弱が進んでいて危険と判断されたのではと思います。普通なら明るくなるのを待って救助作業をするでしょうから。

それだけ隊員の方々に二次遭難のリスクを背負わせてしまったわけで、「リスク管理は自分だけの問題ではない」、という認識を我々登山者は持つべきでしょう。

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