低体温症とは

中高年登山者の遭難でよく耳にする言葉のひとつに、「低体温症」があります。読んで字のごとく、体温が生命活動を維持できないほどに下がってしまう症状です。凍死の一歩手前・・・といえば、イメージが掴みやすいかと思います。

低体温症は雪山のみで起こるわけではなく、夏山でも風雨にさられれることによって十分に起こりえます。実際に夏山でも多くの低体温症による死亡事例がありますから、特に森林限界を超える山では注意が必要です

また、低体温症を予防するには最新式素材の下着(撥水ドライレイヤー素材、メリノウールなど)が非常に有効です。濡れると極端に体温を奪う綿製の衣料は登山にはご法度ですから、注意してください。


以下、低体温症の対処法について、Wikipedeaより引用します。


症状によって、必要な対処法が異なる。慌てて手足を温めると、急激に心臓に負担が掛かって、ショック状態に陥る危険性があるので注意する。アルコール飲料は確かに体が温まるが眠気を誘い、余計に事態を悪化させる危険があるので避けるべきである。体の温まる甘い飲み物は効果的だが、意識がはっきりしていないと、飲み物で溺死する危険性があるので、意識障害が在る者には飲ませてはいけない。

対処法・基礎

風雨に晒されるような場所を避け、衣服が濡れている場合は、それらを乾いた暖かい衣類に替えさせ、暖かい毛布などで包む。衣類は緩やかで締め付けの少ない物が望ましい。脇の下やそけい部(又下)等の、太い血管(主に静脈)がある辺りを湯たんぽなどで暖め、ゆっくりと体の中心から温まるようにする。この時、無理に動かすと、手足の冷たくなった血液が、急激に内臓や心臓に送られる結果になるため、体を温めさせようとして運動させるのは逆効果であるので、安静とする。

対処法・軽度

とりあえずどんな方法ででも、体を温めるようにして、暖かい甘い飲み物をゆっくり与える。ただし目が醒めるようにとコーヒーやお茶の類いを与えると、利尿作用で脱水症状を起こすので避ける。アルコール類は体は火照るが、血管を広げて熱放射を増やし、さらには間脳の体温調節中枢を麻痺させて震えや代謝亢進などにより体温維持のための反応が起こりにくくなるため、絶対与えてはいけない。リラックスさせようとしてタバコを与えてはいけない。タバコにより末梢血管が縮小して、凍傷を起こす危険があるためである。この段階では、少々手荒に扱っても予後はいいので、出来るだけこの段階で対処すべきである。

対処法・中度

運動させたりすると、心臓に冷たい血液が戻って、心臓が異常を起こす事もあるので、出来るだけ安静に努める。急激に体の表面を暖めるとショック状態に陥る事があるので、みだりに暖めない。比較的穏やかに暖める事は可能であるが、裸で抱き合うと、体の表面を圧迫して余計な血流を心臓に送り込んで負担を掛けるので避けるべきである。同様の理由で手足のマッサージも行ってはいけない。とにかく安静にする必要があるので、風雨を避けられる場所に移動するにも、濡れた衣服を着替えさせるにも、介助者がしてやるようにし、出来るだけ当人には運動させないようにする。心室細動により非常に苦しむ事も在るが、心臓停止状態以外では、胸骨圧迫も危険であるため、してはならない。

対処法・重度

呼吸が停止しているか、または非常にゆっくりな場合は、人工呼吸を行って、呼吸を助ける。心臓停止状態にある場合は、胸骨圧迫を併用する。心臓が動き出したら胸骨圧迫を止め、人工呼吸を行う。この場合はマウス・トゥ・マウス式(仰向けに寝かせた要救護者の後頭部から首に掛けて手を宛がって持ち上げ、鼻をつまんで、介護者が口を使って、要介護者の口へ息を吹き込む・喉の奥に吐いた物が詰まっている場合は、これを取り除いてから行う)人工呼吸の方が、人間の吐息であるために暖められていて都合がよいとされる。

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